青のキセキ
「今日1日入院して、ゆっくり考えて」
そう言って、先生は部屋を出て行った。
――――静まり返る病室。
「遥菜...」
久香が近付いてきて、ベッドに座る。
「赤ちゃんがいるって...。ここに、課長の...赤ちゃんが...いるって...」
お腹に手を当てて、下を向けば自然と涙が零れる。
今まで何度泣いたのか分からないぐらい沢山涙を流したけれど、この涙は...嬉し涙。
まだ実感がないけれど、課長の赤ちゃんがここに居るんだと思うと幸せで。
「うん、うん」
久香が、優しく微笑んで私の背をさすってくれる。
「でも...課長の元へは...もう戻れない...」
「遥菜...」
「こんな穢れた私、課長の元へ戻る資格なんて...」
「そんな風に言っちゃダメ!!穢れたなんて誰も思ってないから。ね、翔ちゃん?」
「ああ。遥菜ちゃんは穢れてなんかない。悪いのはアイツなんだから。それに大和の子どもがお腹にいるんだから、ちゃんと話をした方がいいと思う」
翔さんが言った。
「...言えません。きっと課長を困らせる。苦しめるだけだから...。綾さんがいるのに、妊娠したなんて...言えません。だから...翔さんも久香も彼には言わないで...お願い...」