青のキセキ
後悔の夜【大和side】
美空を見送った後、綾にせがまれて高級デパートへ。
「大和、私、これが欲しいわ」
綾が指差したのは、高級ブランドのバッグ。
「ねぇ、いいでしょ?」
甘えた声で、上目遣いに俺を見る。
「...ああ」
「ありがとう、大和。愛してるわ」
人目も憚らず、頬にキスをしてきた綾。
店員に『仲がよろしいんですね』と言われ、嬉しそうに微笑む綾の隣で、俺が考えていたのは美空のことだった。
今何をしている...?
寂しそうに会社を後にした美空の後ろ姿が何度も思い出される。
何かを言おうとしていた美空。
何を言いたかったかのか...?
綾と食事をしている間も、頭の中は美空のことばかりで。
まさか、美空があんなことになっているなんて知る由もなかった。