青のキセキ
――――旅行の前日。
一切の物が無くなって何も残っていない部屋に一人佇む。
手元に残ったのは、明日からの旅行に持っていくものだけ。
夕陽で照らされたオレンジ色の部屋を無言で見渡す。
この部屋で課長と紅茶を何度飲んだだろう。何度抱かれただろう。
そして、何度泣いたのだろう。
色々な思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡る。ゆっくり、ゆっくりと。
もうこの部屋へ戻ってくることは無いのだと思うと、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
今日の夜はホテルに泊まって、明日の朝旅行へ出発する。
課長との最後の旅へ...。