青のキセキ
遥菜がいなくなっても、時間は止まることなく一刻一刻過ぎ行く。
いつまでも仕事を休めないと、海堂さんは仕事へと戻った。
「美空のこと、何か分かったらすぐに教えてくれ」
翔ちゃんの手を握ってそう言う海堂さんの表情は本当に切羽詰まっていて、私まで胸が痛くなった。
私達もいつまでも店を休んでいるわけにはいかなくて、同じく遥菜がいなくなった二日後から営業を再開。
でも遥菜のことが心配で、心此処にあらずの状態だった。
水曜日の午前中。店で翔ちゃんと仕込みをしようとしていたときのこと。
「お届け物です」
店の外から声が聞こえたのでドアを開けた。
見ると、ダンボール箱と、その上にダンボール箱よりも小さな箱を重ねて持った宅配便の人。
何か注文したっけ...と思いながら差出人を見た私は、心臓が止まるかと思った。
そこには『美空遥菜』の名が書かれていて。
一気に動悸が激しくなる。
押印を済ませ、急いで店内に戻った私は、翔ちゃんを呼んだ。
「遥菜ちゃんからだって!?」
翔ちゃんがエプロンを外しながら、奥の調理場から慌てて出てきた。
「そうなの!これ見て!」
「とりあえず開けてみよう!」
翔ちゃんが箱を開けるのを横で固唾を飲み込みながら見ていた私。
箱の中にあったものは、ダンボール箱の方にはマンゴーやピーチパイン等の南国のフルーツの詰め合わせ、もう一方には黒糖を使った御菓子と...そして手紙が入っていた。
心臓が最速のスピードで拍動を刻む。
「翔ちゃん......これ......」
封筒に書かれた宛名は私。
丁寧な綺麗な字で書かれた自分の名を見て、涙が溢れそうになった。