青のキセキ
二人でご飯を食べて、お風呂に入って。
そんな当たり前のことが、とても幸せで。心がくすぐったい。
スースーと気持ちよさ気に眠る碧を横に、私は戸棚の引き出しを開けた。奥に入れてあった小箱を取り出し、中身を眺める。
キラキラと輝く青い色の指輪。そして、時計。
いつだったか、これらを捨てようとしたことがあった。
未練がましく持っていても、意味がないと思ったから。
だけど、捨てられなかった。
課長との決別を決めたくせに。どうしても捨てられなくて。
だって...課長が私にくれたものだから。
今では、二つとも私と碧にとって大切な御守りとなった。
辛いとき、悲しいとき、寂しいとき。
これを見たら頑張れた。
課長に愛された日々を思い出すだけで、心が温かくなった。
課長が側にいてくれるような気がして。
課長は元気だろうか。
綾さんが産んだ赤ちゃん...碧と同じ年だから、もうすぐ3歳になるはず。
幸せにくらしてるだろうか。
もしかしたら...二人目もできているかもしれない。
そう思ったら、少しだけ胸が痛いけれど、だけど...これは私が望んだこと。
『家族』に戻ってほしい。
だから...課長が綾さんと幸せな家庭を築いていくことができているなら、私は...喜ばなきゃいけないんだ。