青のキセキ
視線を感じて、そちらを見れば。
車に寄りかかって私の方を見る男性の姿があった。
一瞬、息をするのを忘れた。
なぜ...どうして...。
あまりの突然さに、私の思考回路は麻痺をしてしまったかのよう。
課長が私の目の前まで走ってきて立ち止まる。
「美空...」
「...課...ちょ...」
目の前に課長が居ることが信じられなくて、言葉が上手く出てこない。
何故...どうして...。
そればかりが頭のなかを駆け巡る。
無言で見つめ合ったまま動けない私達。
波の音、海の香りに包まれる二人。