ボディーガード
「おい、何してるんだ」

仁は顔を赤くしながら言った。

「何って着替えてるんだよ」

「着替えって、男の前でそんなに堂々と」

「ああ、そうか、向こうが長かったからつい、悪いな、気になるならあっち向いてて」

俺は朱里の体に見とれていた。
こいつは何者だ。
朱里の体には刺し傷、切り傷、弾痕など無数の傷があった。
朱里の綺麗な顔からは想像がつかない程だった。

「汚いだろう」

俺の視線に気が付いたのか朱里が言った。

「すごい傷跡だな」

「ああ、私に取っては体を張って仕事したっていう勲章だ」

その時朱里がとても輝いて見えた。

俺は無意識のうちに朱里を抱きしめていた。

好きとかそんなんじゃなく抱きしめていないと今にも消えそうだった。

朱里「何をする」

仁「悪い、綺麗だったから」

朱里「綺麗?…変わってるな。私の体を初めて見た奴はたいてい引くぞ」

仁「………」

仁は何も言わなかった。

仁「そう言えば最初の手合わせの時手加減しただろう」

朱里「悪い、本気出したら怪我するからな」

仁「お前、何者だ」

朱里「しつこいな、今は仁のマネージャーだ」

仁は真剣な顔で私を見つめていた。

一瞬ドキッとした。
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