ふわり、溶けていく。
止めていた足を、トンっと前に押し出した。
思いの外、足取りは軽やかだった。
あたしの様子の変化にまだいまいちついていけてないりゅうちゃんは、頭に雪を積もらせて立ち止まっている。
スキップするような足を一度止めて、くるりと振り返った。
視界に映る雪が……少しだけ、綺麗だと思えた。
「ねぇ! 帰ったら、りゅうちゃんの家に行ってもいい?」
「別にいいけど…。何か用事でもあんの?」
「用事っていうか……」
不思議そうに顔を傾けるりゅうちゃんに、ちょっとだけ言葉を詰まらせる。
だけどりゅうちゃんがゆっくりと歩くたびにカバンで揺れている可愛らしいハートのモチーフのキーホルダーを見て、ぐっと顔を上げた。