ふわり、溶けていく。
「…ま、言いたくないならいいけどさ。悩んでるなら、俺を頼れよ? 舞は妹みたいなもんだから、落ち込んでるかと思うと心配になるし」
不機嫌顔を直して顔を上げると、二ヒっと口角を上げた無邪気な笑顔が視界に広がった。
……それだけで泣きそうになり、上げたばかりの頭を項垂れる。
いつもと変わらない、りゅうちゃんの笑顔。
それが今は、ただ悲しくて仕方がない……。
下を向く視線の先で、りゅうちゃんの足が動き出すのを確認した。
渋々と顔を上げて、あたしも棒になりかけていた足をゆっくりと動かし始める。
「妹、か…」
小さく呟いたそれは、楽しそうに鼻歌を唄うりゅうちゃんの背中にはきっと届いていない。
……まぁ、聞こえてたら困るんだけど。
少し駆け足になって、りゅうちゃんの隣に並んだ。