ふわり、溶けていく。



「…ねぇ。それ、何ていう曲?」


「ん? ああ、この曲? マナに教えてもらったんだけど、結構良い曲だろ?」


「…彼女さんに教えてもらったんだ」



聞くんじゃなかった…。


りゅうちゃんがやけに上機嫌で歌うから気に入ってることは分かったけど、まさか彼女から教えてもらっていたなんて……。



……こんなの、墓穴を掘ったようなものだ。



「あ、もしかして舞もこの曲気に入った? だったらマナに頼んで……」


「――…要らないから!」



『音源もらおうか?』と言おうとしたりゅうちゃんの言葉を遮った自分の声は、思ったよりも大きくてりゅうちゃんよりも驚いた。



上機嫌だったりゅうちゃんの顔が、ほんの少し怒りに染まっていく。



「…なんだよ。要らないならいいけど…、その言い方はひどいんじゃね?」



りゅうちゃんの眉間にシワが寄っていく。



それにつられるように、またあたしの眉間にも深くシワが刻まれているような気がした。



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