ふわり、溶けていく。



「…ひどいのは、りゅうちゃんのほうだし」


「はぁ? 何が?」



動き出したはずの足が、いつの間にか止まっていた。



俯いていると、りゅうちゃんが顔を覗き込んでくる。



意地になって、顔を見られないように勢いよく背けた。

目頭が熱くなる。



何だか、もう……。


―― 限界だ。




「…っ! りゅうちゃんには、あたしの気持ちなんてわかんないよ!」



強い風と共に吹き荒れる雪が、急かすように速さを増して降ってくる。



…雪は嫌いだ。

あの日を思い出させるから。



―― りゅうちゃんに、フラれた日のことを。





『…ごめん…。舞のこと、そういうふうに見たことない』





……ずっと、好きだったのに。


家族とか、お兄ちゃんとか、幼なじみとか。

あたしはりゅうちゃんのことをそういうふうに見たこと、一度もなかったんだよ。


最初からずっと……“好きな人”だった。



―― でも、りゅうちゃんは違った。



あたしはただの幼なじみ。

妹みたいな存在で、“彼女”のポジションには立てない。



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