ふわり、溶けていく。
「くっ…うぅ…」
フラれた日も、それからも。
今まで一度だってりゅうちゃんの前で涙を流したことはなかったのに、今は我慢しようとしても次々と涙の粒が頬を伝う。
不機嫌顔から流れる涙は、不機嫌模様の空が舞い落とす雪のようにアスファルトに丸い染みを作った。
その染みは次第に数を増していって、もう自分でも涙の止め方がわからなくなる。
「ちょっ…。舞、落ち着けって…」
通行人の視線が痛くて耐えられなくなったりゅうちゃんは、オロオロとしながらあたしを慰めようとする。
……落ち着かなきゃいけないのは、りゅうちゃんのほうだし。
なんて、頭の中では動揺しているりゅうちゃんに突っ込む余裕がある。
だけど実際は涙を拭うこともせず、ただ赤ちゃんみたいに涙を頬に落とすことしか出来なかった。