魔王と魔女と男子高生と
************************
クジャクの言葉に
陸琉が質問をしようとし
たが、

「今この世界は魔王に
脅かされているん
ですよね?」

といつものごとく
空砂が割り込んできた。

「脅かされてるとも、
ないともいえるかのう」

「えっ?悪い魔王が
魔物を放ち、
世界を征服しようと
画策してる世界じゃ
ないんですか!!」

クジャクの言葉に
とても残念そうに
空砂は叫んだ。

先程に続き2度目の
叫びで絶対家の人
起きたなと陸琉は
思った。

「どこのRPGの
話だよ……」

「まぁ、聞いておくれ。
確かに、魔王は
この世界の最果てに
ある死の地に居城を築き、
その城に近づくものを
容赦なく殺すのだよ。

しかし、その地にさぇ
近づかなければ
なにもしない」

クジャクは空砂を
なだめるように静かに
答えた。

「えっ!!でも配下の
魔物は……わさわさ
世界にいて迷惑を
かけているのですよね?
そうじゃなきゃ
面白くないですし!!」

面白い、面白くないの
問題じゃないだろうと
陸琉は思ったが、

空砂は不満そうに
している。

「いや、魔物は魔王の
配下ではない。

『白き魔女』の怨念が
生み出した産物と
言われている。

人々に滅ぼされ、
肉塊となり魂まで
砕かれた彼女の……
魂の結晶が変質した
ものだと……」

「……『白き魔女』
クロノクロアは、
勇者達に退治されて
肉塊になったんですよね?
それはしってるんですが
魂まで砕けたんですか?」
空砂は自身が毎晩
見ている夢を反芻して
いるようだったが、
どうやらそのシーンには
覚えはないらしい。

「そう伝えられている。
全てが砕けて消滅
したのだと……」

空砂の言葉に
クジャクの表情が
何故か幾分くもって
いるように見えた。

***********************
< 13 / 19 >

この作品をシェア

pagetop