魔王と魔女と男子高生と
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「あの……話が
展開しまくってる中
申し訳ないんですが、

魔王は勇者に倒された
と聞いているのですが、

その辺りの話から
俺にはわからないので
詳細を聞きたいです」

陸琉は完全に
置いていかれる前に
挙手した。

「おおっ、すまぬ。
君はこのお嬢さんと
違って全くこの世界に
ついて知らなかったのを
忘れておった」

「……多分、こいつも
断片的にしか分かって
ないはずです……。

(まだ空砂を女と勘違い
されてるけど……
まぁ、いいや)

とりあえず
全くわからない
ので説明して
もらえると助かります」

陸琉の言葉に
クジャクは仕切り直す
ように、

「では、とりあえず
この世界の成り立ちを
話そう」

と話し始めた。

空砂も陸琉も黙って
クジャクの方を見つめる。

「この世界には
昔4つの大陸が
あったのじゃ。

そして、
それぞれバラバラの
種族が住んでおった。

妖精やエルフが暮らす
常春の大陸ヴィスナー、

人間が暮らす
常夏の大陸リエータ、

神々が暮らす
豊穣の大陸オースィニ、

そして魔族が暮らす
死の地ズイマー。

オースィニに住む
神々は全ての地を
見守り世界は争いも
なく平和じゃった。

しかし、ある日
魔族の王、
オブシディアンが、
魔族の住む土地のみ
死の地であり、
実りから見放されて
いることに気づくいた。

魔王は神々に不平等を
訴えたが、神々は
聞き入れたりは
しなかった。

しかし、
豊穣から見放された
土地に住む魔族達は
常に餓えに苦しみ、
わずかな食べ物を
取り合い、殺し合いを
していた。

魔王は民を救う方法は
神からは得られない
ことをさとり、
自身の民のために
神々の住む土地に
軍を作り攻めこんだ。

しかし、神々の
絶対的な力の前に
魔族は敗北し、
魔王は石にされた」

空砂はクジャクの話に
耐えきれなくなった
ように、

「あれ?『白き魔女』も
勇者も出てこないじゃ
ないですか!!」

と叫んだ。
何度も言うが夜中だと
言うのに……。

陸琉はいつ苦情がくるか
胃の痛い気持ちになる。

「ほっほっ。
まぁ焦るでない。

魔王亡き後、
ズイマーは荒れに荒れた。
魔王は魔族から慕われて
いたのじゃ。
その統率を亡くし、

今まで死の土地に
とどまっていた連中が、

他の三大陸に流出を
始めた。

それは神さぇも考えて
いなかった不測の事態で
あり、魔族は方々で
暴れて狂った。

そんな時に新たに
魔族の長となったのが
前魔王オブシディアンの
息子であるモッカイト
じゃった。

モッカイトは幼なじみで
あるふたりの魔女と
力を合わせて世の中に
秩序を取り戻そうと
したのじゃ。

その魔女が、
「白き魔女」と
「黒き魔女」の姉妹の
魔女であり、エルフの
血筋の巫女と伝えられて
いるがよくはわからない」
「魔王に魔女、
しかもエルフだなんて、
たかまるーーーっ!!」

「うるさい!!
何時だと思ってんだ!!」
空砂が何度か目の叫びを
上げたためか遂に住人の
怒りにふれた。

「……すいません」

そうして、
話が中途半端なところで
3人とも3時間ほど
説教されたのだった。
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