魔王と魔女と男子高生と
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「間違いない、
これは勇者を狙う
悪の手先の仕業だ」
空砂は明らかに
ワクワクするように
駆け出して行った。
「おっ、おい!!」
陸琉はそれを
仕方なく追いかけた。
すると、桜並木の道の
ど真ん中に鎮座している
大きなキンモクセイの木
を見つけた。
「うわぁ!!あった。
狂い咲きだね!!」
無邪気な子供のように
嬉しそうな空砂と
対照的に陸琉は
違和感に眉をひそめた。
「……ああ。
狂い咲きだ」
陸琉は探るように
キンモクセイを
見つめながら
その違和感が何か
思考を巡らせる。
そうしていると
突然何かに貫かれる
ように閃いた。
「なぁ、空砂……
何でこの
キンモクセイ道の
真ん中にあるんだ」
そうだ、
まるで舗装された
桜並木の道の
アスファルトに
生けられた花のように
それは刺さっている
のだ。
「あっ!!確かに
この位置じゃ邪魔だよね」
空砂は弾かれたように
検討違いの答えを
返す。
「邪魔とかじゃなくて
この木、アスファルトを
突き破ってるだろ?」
「ああ、でもそれは
不思議かな?
ど根性大根の前例も
有るわけだし……」
納得いかなそうに
空砂が陸琉を見つめた
時にそれは起きた。
その時だった。
地を貫くような
激しい揺れがふたりを
襲ったのだ。
「じ、地震だ!!」
「やばい、デカいぞ!!」
ふたりは咄嗟に地面に
頭を守るようにして
屈んだ。
その時―
『助けて……』
「!!」
ふたりの耳に同時に
その声は聞こえた。
『お願い力を貸して』
透き通るような少女の
声だった。
ふたりとも聞き覚えの
ない声だったが
なぜか懐かしい声だった。
1、2分で地震は
おさまったのでふたりは
顔をあげた。
「なっ、なんだ!!」
「さぁ?……あれ?
ここは?」
周囲には桜並木も
キンモクセイもなく
見渡す限り
広大な砂漠が
広がっていた。
「……どういうことだ?」
「わかんない。
でもさ……これでひとつ
分かったことがあるんだ」
空砂は何かを察した
ような表情で陸琉を
見つめた。
いつになく真剣な
表情だった。
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「間違いない、
これは勇者を狙う
悪の手先の仕業だ」
空砂は明らかに
ワクワクするように
駆け出して行った。
「おっ、おい!!」
陸琉はそれを
仕方なく追いかけた。
すると、桜並木の道の
ど真ん中に鎮座している
大きなキンモクセイの木
を見つけた。
「うわぁ!!あった。
狂い咲きだね!!」
無邪気な子供のように
嬉しそうな空砂と
対照的に陸琉は
違和感に眉をひそめた。
「……ああ。
狂い咲きだ」
陸琉は探るように
キンモクセイを
見つめながら
その違和感が何か
思考を巡らせる。
そうしていると
突然何かに貫かれる
ように閃いた。
「なぁ、空砂……
何でこの
キンモクセイ道の
真ん中にあるんだ」
そうだ、
まるで舗装された
桜並木の道の
アスファルトに
生けられた花のように
それは刺さっている
のだ。
「あっ!!確かに
この位置じゃ邪魔だよね」
空砂は弾かれたように
検討違いの答えを
返す。
「邪魔とかじゃなくて
この木、アスファルトを
突き破ってるだろ?」
「ああ、でもそれは
不思議かな?
ど根性大根の前例も
有るわけだし……」
納得いかなそうに
空砂が陸琉を見つめた
時にそれは起きた。
その時だった。
地を貫くような
激しい揺れがふたりを
襲ったのだ。
「じ、地震だ!!」
「やばい、デカいぞ!!」
ふたりは咄嗟に地面に
頭を守るようにして
屈んだ。
その時―
『助けて……』
「!!」
ふたりの耳に同時に
その声は聞こえた。
『お願い力を貸して』
透き通るような少女の
声だった。
ふたりとも聞き覚えの
ない声だったが
なぜか懐かしい声だった。
1、2分で地震は
おさまったのでふたりは
顔をあげた。
「なっ、なんだ!!」
「さぁ?……あれ?
ここは?」
周囲には桜並木も
キンモクセイもなく
見渡す限り
広大な砂漠が
広がっていた。
「……どういうことだ?」
「わかんない。
でもさ……これでひとつ
分かったことがあるんだ」
空砂は何かを察した
ような表情で陸琉を
見つめた。
いつになく真剣な
表情だった。
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