魔王と魔女と男子高生と
砂糖菓子のような村
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「やっと……ついた」
陸琉はあの後、
老人(道中の話でクジャクという名前と判明)と、
砂漠を雨の中
ラクダで渡り、
一番近い町(と言っても
ラクダで3日かかった)に
ついたのだった。
瞬転石を使えば良さそう
と思うだろうが、
あの石はとても高価で
クジャクもあの石は
ひとつしか持ち合わせて
いなかったのだ。
「くそっ、あいつ
どこいった!!」
「わからん。しかし、
デザート・ローズは
そこまで広い町ではない。
どこにも移動していな
ければ、すぐに見つかる
じゃろう」
「そうだといいですが…
…」
陸琉はもう何度目か
分からない深いため息を
ついた。
町は全て白い石造りの
建物で出来ていた。
その建物群はまるで、
砂糖菓子で出来た建物の
ように可愛らしく
見えた。
「……変わった建物
ですね」
「そうかの?この辺りは
みんなこのような
町ばかりじゃから
特別不思議でもないが」
クジャクは周囲を
見渡しながら言った。
確かに、この辺りで
生まれ育てば何ひとつ
不思議はないのだろう。
しかし、異界、つまり
現代日本から来た
陸琉からしたら凄く
不思議な光景だった。
町の人々の服装も
ターバンにマントの
ようなものが多く、
異国情緒満載だなと
思わず考えてしまう。
ふっと、ひとりの
小さな男の子が陸琉を
見ているのがわかった。
多分、自分の高校の
制服姿がこの町では
奇妙だからかと思った。
「お兄ちゃんは
勇者様のゲボク??」
いきなり掛けられた
言葉は想像と全く違い
思わずずっこけかける。
「勇者?下僕?」
「うん、3日前に
お兄ちゃんと同じ格好の
勇者様が現れて
邪悪な魔物に襲われた
リビアンお姉ちゃんを
助けてくれたの」
その言葉に思わず
クジャクを見た。
「間違いなく、
君の連れのお嬢さん
じゃな……」
思わずふたりは
微妙に疲れた
表情になった。
「ですよね……。
その勇者様は今どこに?」
しかし、ほっとくと
もっと疲れそうなので、
とりあえず陸琉は何とか
この茶番を終わらせた
かった。
そんな葛藤をしらない
小さな男の子は、
楽しげな顔で、
「勇者様はこの町を
困らせている悪い魔物
を退治するための
準備をリビアン
お姉ちゃんの
家でしてるよ」
と教えてくれた。
「なるほど……町長の
家じゃな。ありがとう
少年。では、行こう」
クジャクは足早に
町の中心にある
大きな家に連れて
案内してくれた。
「大丈夫だよ、リビアン。僕ひとりでも魔物位
退治できるよ!!
なんせ伝説の勇者の
生まれ変わりだからね」
家の中から聞き覚えの
ある声がした。
「空砂!!」
陸琉は思わず他人の
家であることも
忘れて勢いよく
扉を開けた。
……そこには、
黒く長い髪を後ろに
束ねた(つまりポニー
テール)の少し気の
強そうな、黒い瞳の
美少女とその子より
小柄な我らが美少女
小学生風な男子高校生、
空砂が椅子に腰かけて
お茶を飲みながら
話をしていた。
何も言わなければ
ふたりは美少女姉妹
(もちろん空砂が妹)に
見えた。
異国風のマントを制服の
上に羽織った以外(より
中2病感アップ)は離れた
時とまるでかわりない
空砂は陸琉を
見つけるなり、
「遅いよ親友(げぼく)!!
めちゃくちゃ待ったよ」
といつもの通りの
反省の欠片もない発言を
した。
「馬鹿野郎!!
お前俺がどれだけ
心配したと思って……」
流石の陸琉も頭にきた。
砂漠を3日放浪して
やっと見つけてくれた
友人に掛ける言葉
じゃない。
「どうかした??
さては僕の勇者マントが
欲しいんだな!!
あげないよ」
ブチンと何かが切れた。
陸琉は一発ぶん殴ろうか
と空砂側に高速で
踏み込んだ。
空砂の頭に拳が確かに
ヒットするはずだったが、
代わりに陸琉の
右頬がいい音を立てて
叩かれた。
「勇者様に何てことを
下僕の分際で!!」
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「やっと……ついた」
陸琉はあの後、
老人(道中の話でクジャクという名前と判明)と、
砂漠を雨の中
ラクダで渡り、
一番近い町(と言っても
ラクダで3日かかった)に
ついたのだった。
瞬転石を使えば良さそう
と思うだろうが、
あの石はとても高価で
クジャクもあの石は
ひとつしか持ち合わせて
いなかったのだ。
「くそっ、あいつ
どこいった!!」
「わからん。しかし、
デザート・ローズは
そこまで広い町ではない。
どこにも移動していな
ければ、すぐに見つかる
じゃろう」
「そうだといいですが…
…」
陸琉はもう何度目か
分からない深いため息を
ついた。
町は全て白い石造りの
建物で出来ていた。
その建物群はまるで、
砂糖菓子で出来た建物の
ように可愛らしく
見えた。
「……変わった建物
ですね」
「そうかの?この辺りは
みんなこのような
町ばかりじゃから
特別不思議でもないが」
クジャクは周囲を
見渡しながら言った。
確かに、この辺りで
生まれ育てば何ひとつ
不思議はないのだろう。
しかし、異界、つまり
現代日本から来た
陸琉からしたら凄く
不思議な光景だった。
町の人々の服装も
ターバンにマントの
ようなものが多く、
異国情緒満載だなと
思わず考えてしまう。
ふっと、ひとりの
小さな男の子が陸琉を
見ているのがわかった。
多分、自分の高校の
制服姿がこの町では
奇妙だからかと思った。
「お兄ちゃんは
勇者様のゲボク??」
いきなり掛けられた
言葉は想像と全く違い
思わずずっこけかける。
「勇者?下僕?」
「うん、3日前に
お兄ちゃんと同じ格好の
勇者様が現れて
邪悪な魔物に襲われた
リビアンお姉ちゃんを
助けてくれたの」
その言葉に思わず
クジャクを見た。
「間違いなく、
君の連れのお嬢さん
じゃな……」
思わずふたりは
微妙に疲れた
表情になった。
「ですよね……。
その勇者様は今どこに?」
しかし、ほっとくと
もっと疲れそうなので、
とりあえず陸琉は何とか
この茶番を終わらせた
かった。
そんな葛藤をしらない
小さな男の子は、
楽しげな顔で、
「勇者様はこの町を
困らせている悪い魔物
を退治するための
準備をリビアン
お姉ちゃんの
家でしてるよ」
と教えてくれた。
「なるほど……町長の
家じゃな。ありがとう
少年。では、行こう」
クジャクは足早に
町の中心にある
大きな家に連れて
案内してくれた。
「大丈夫だよ、リビアン。僕ひとりでも魔物位
退治できるよ!!
なんせ伝説の勇者の
生まれ変わりだからね」
家の中から聞き覚えの
ある声がした。
「空砂!!」
陸琉は思わず他人の
家であることも
忘れて勢いよく
扉を開けた。
……そこには、
黒く長い髪を後ろに
束ねた(つまりポニー
テール)の少し気の
強そうな、黒い瞳の
美少女とその子より
小柄な我らが美少女
小学生風な男子高校生、
空砂が椅子に腰かけて
お茶を飲みながら
話をしていた。
何も言わなければ
ふたりは美少女姉妹
(もちろん空砂が妹)に
見えた。
異国風のマントを制服の
上に羽織った以外(より
中2病感アップ)は離れた
時とまるでかわりない
空砂は陸琉を
見つけるなり、
「遅いよ親友(げぼく)!!
めちゃくちゃ待ったよ」
といつもの通りの
反省の欠片もない発言を
した。
「馬鹿野郎!!
お前俺がどれだけ
心配したと思って……」
流石の陸琉も頭にきた。
砂漠を3日放浪して
やっと見つけてくれた
友人に掛ける言葉
じゃない。
「どうかした??
さては僕の勇者マントが
欲しいんだな!!
あげないよ」
ブチンと何かが切れた。
陸琉は一発ぶん殴ろうか
と空砂側に高速で
踏み込んだ。
空砂の頭に拳が確かに
ヒットするはずだったが、
代わりに陸琉の
右頬がいい音を立てて
叩かれた。
「勇者様に何てことを
下僕の分際で!!」
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