藍君の恋について
「はぁ……はぁ……」


あいつらは、追ってこない。


よかった。


助かった。


「あの、ありがとうございました」

「……キミ、バカじゃないの?
勝ち目のないとこにとびこんで…僕が来なかったらしんでたよ?」

……何それ。


なんであんたにそんな事言われなきゃいけないの?


私だって、出来れば助けたくなかったよ。


怖いし。


しぬかとおもったし。


でも…勇気を出して頑張ったのに。


なんで……


「うっ…ひっく……」


気がつけば私の目には涙が、溢れていた。


「げっ。なんでそこで泣くかなぁ…」


なにさ!!


めんどくさいなら、さっさとどっかいけばいいじゃん!!


「あー…ごめん…キミだって助けたんだよね。怖かったよね…」


気がつくと私は男の人の腕の中にいた。


この状態は…


抱きしめられている。


「僕も言い過ぎた。ごめんね」


ギュッと抱きしめる腕が強くなったのがわかった。


その瞬間、かすかにだけど…


心の奥がきゅっとなった気がした。


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