孤独の戦いと限界
タイトル未編集
◇主な登場人物

・主人公、宮川 優助
・妹、宮川 友美

・担任、藤 恵津子

・委員長、椎名 綾

・友達、藤 恵理

〜2月上旬〜

(ジリリリリ‥)


健やかに睡眠していた俺に、時計が鳴り響く。

『……、…いい夢みてたのに』

半開きの目をこすり、起き上がって時計のアラームを消す。

(眠いよ〜、…もう少し寝る。後15分で妹の友美も起こしに来るし‥)

まだ温もりの残った布団を被り、さっきの夢との再会を期待し目を閉じる。

………
……Zzz



『!!!っ』


ガバッと衝動的に起きる。睡眠を仕切れていないのに、額は汗でにじんでいる。思い出したくもない、過去が今もなお……。

《宮川優助君だっけ?、悪いけど私好きな人が…》


『……、夢か、何度も何度も』


体勢を悪くして窮屈に寝ると、たまに悪夢と遭遇する。
…もう過去の失恋を、引きずりたくないのだが、すっかり記憶に焼き付いてる。


『………』

今度は枕をいい位置に、姿勢も正して寝てみる。


『ねっみい、…Zzz』

……


《コンコン》


『兄さん、起きてる?』

『………』

『兄さん?』

《カチャ》
…とドアが開く。

『Zzz…』

『…もう』

『Zzz‥』

『兄さん朝だよ、早く起きて』

『‥、起きてるよ…』

二度寝の浅い俺は、睡眠に無理なく起きる。


『‥友美、おはよ』

身体を起こして、渇いた目をまばたきで潤す。


『また夜更かしで読書なの?』

側に置いてある歴史書を見て言う。


『まぁね、最近買ったばかりだから、十分に読んでなくて、つい夜更かし♪』

『はいはい、どうせなら日常生活と勉強に熱心になってよね』

『歴史は学校の勉強だろ』

『戦国時代の勉強しかしないくせに、偏ってるよ』

『そうだ、友美』

『何?』

『はいっ!』

『えっ‥?』

ベッドで寝ながら、両手を広げて仰向けになる。


『ギュッ、と♪。気持ち良いよ』

『…、早く起きて』

『来てくれたら起きる♪』

『‥、兄さん!』

方や面倒臭そうに、一方で手を胸に押さえ、ワンテンポ遅れた喋りをする。


『一回だけ♪』

『………』

…‥


『…う、うん』

『!っ』

顔が赤面しつつ、目がうつろになり、胸を押さえながら、歩み寄ってくる。


『……、!』

からかいになってない、友美はマジになってる!


『冗談だよ、友美!』

『………』

『早く朝飯食べようぜ、学校に遅刻するよ』

『………』

最もそうな理由をつけて、話題を反らす。


『…友美?』

『あ‥、うん。じゃあ早く起きてね』

『ああ』

パタン、とドアを閉めて下に下りる友美。
妹は、俺にときめいたりするものか、ちょっとビックリする。

…‥


制服に着替え、食卓に向かう。
食卓では友美が食パンをオーブンに入れている。

『♪〜、♪〜』


鼻歌をしながら、冷蔵庫から牛乳、ジャム、バターをテーブルに並べる。


『グッモーニン♪』

『?、さっき挨拶すましたじゃない』

『…何となく、ね』

『兄さんの口癖、何となく♪』

『だって、日常会話では使えるもん』

『漫画だと、優柔不断な人が多用しそうな感じ、ね』

『……、かも知れない』

『ピッタリだね。兄さんの優柔不断な性格には、いいセリフかもね』

『何となく、ってセリフ?』

『そう♪』

『…言われると否定しずらいな、優柔不断な俺…、かぁ』

『後、何でも素直に受け止めるところは、兄さんのいいところかもね』


…‥


ちょうど良い具合に、焼いた食パンにバターを丁寧にぬる友美。

『美味しいね♪』


爽やかな笑顔で尋ねてくる。

『ああ、誰かさんの手作りで、この味はないな』

『…誰かって誰!?』


軽いジョークなのに、一気に、空気が凍り付く。
けど、微妙な空気を読んで、俺は切り替えし、パンを食べる。


『‥、美味しいな♪』

『…、もう』

…‥


窓の戸締まり、ガスの元栓を点検してから、自分の部屋に戻り、鞄を持って階段を下りる。

次に、妹が再点検する。
家のルールでは、常に点検を怠らない。


『さぁ、学校に行くべ』

『うん』

ドアを開けると、日差しが照りつけるがまだ寒い。

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