【短編】『夢幻華番外編』恋人の時間(とき)
普通の恋人同士は確かに同棲でもしていない限り時間に限りがある。

忙しい時は互いに会いたくても会えない時期があったりするものかもしれない。

そう言う意味では俺達はいつでも会える訳だ。

互いの家にそれこそ好きな時に行けば良い、親戚なんだから周りも何も言う訳じゃないしな。

会えない日があって久しぶりに会えると確かに新鮮だし、愛情も深まるような気もする。

でも今更杏と会えない日が出来てイライラするなんて嫌だ。

今まで10年もジリジリと想いを伝えられずに苦しい思いをしてきたんだ。例え1日だって会えずに我慢するなんて考えられない。

今だって中間だの期末だのテスト勉強で杏の忙しいときでも、家庭教師の口実を作って一緒にいるという過保護と言われても仕方が無い行動を取っているんだから。

もしも、杏が試験勉強するから会えないとか本当に言い出したら気が狂いそうだ。

いや、絶対に狂うな。


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