【短編】『夢幻華番外編』恋人の時間(とき)
「うん、そうだね。あたしも思ってたの。
普通の恋人たちと同じようにしたら、暁と毎日会う事も出来なくなるし、きっと不安で大学まで押しかけちゃうかもしれないなって。」

「クスクス…俺も同じ事考えたよ。
杏の教室までコッソリついていくかもしれないな。
高校の制服まだ残ってるし…。試してみるか?」

「あははっ、ダメだよ。暁が卒業しても未だにビケトリは有名なんだから。
どんなに変装してもきっと暁ならバレちゃうよ。」

クスクスと笑いながらどちらからとも無く抱きしめあうと自然に唇を重ねた。

互いの想いが同じだと感じると抱きしめる腕にも無意識に力が入りキスも深くなる。

触れた場所から、重なる唇から『愛している』と想いが伝わってくる。

魂がこれほどまでに求める相手に巡り逢えた事を幸せに思う。

自分がこの世に生を受けた意味がここに在ると思うのは決して錯覚ではないのかもしれない。





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