【短編】『夢幻華番外編』恋人の時間(とき)
杏の艶やかな黒髪に手を滑らせてそこに母さんの面影を見る。
双子の姉である杏の母親、蒼母さんとそっくりだったと言う俺の母さん。
どこか杏と似ているのは当たり前なのかもしれない。
自分の命と引き換えにしても俺を産んでくれた母さん。
俺と杏が巡り逢うために母さんは命がけで世に送り出してくれた。
今ここに俺が在る事を感謝しているよ。
俺を産んでくれた母さんにも、産む事を許してくれた父さんにも…。