パパはかわら版
ガチャ、ガチャ、ガチャとうるさかったのだが、ガシャーンという茶碗が落ちて割れる音で、橋龍は目が覚めた。子供何人かの言い争う声を聞いて、すべて現実であることを認識させられる。
初江「あ~あ、また。あんたとろいのよ」
幸江「また、文句言われるわよ」
良江「どうも、すみません。私は、お母さんが死んだばかりで、どうも、こういったことにはなれていません。」
初江「しかし、器って、すぐこわれるのね。見る見る数が減って行くわ」
幸江「良江さん、私の、茶碗は洗わないでね。これは私自分で洗うから」
良江「だったら、最初から自分で洗ってください」
初江「見た目で、あなたが一番こういうことは向いているように見えたのよ」
幸江「そう、そう、それにあんた自分で進んでやっていたじゃない」
良江「そうですけど。ここにおいてもらう以上は、いろいろやらなくちゃいけないと思ったんです」
初江「あんた、バカねえ。何にも言われていないうちから自分でやるなんて。私はてっきり、あの人に、やるように言われているのかと思っていた」
良江「それで、さぼっていたと言うことですか」
初江「バカ言わないでよ。私は、あんたがてっきり点数稼ぎしているのかと思って、放っておいたのよ」
良江「私は、そんなことしません」
幸江「まあ、まあ、喧嘩はその辺にしといて、どうやら起きてきたみたいよ、パパが。
「パパ、おはよう~」
橋龍「おい、朝からなんだ。また、茶碗こわして、もうやらなくていいっていっているだろう」
幸江「だって、やってくれる人いないじゃない」
橋龍「私は、自分のぐらい自分でやる」
初江「パパは、外で食べてくればいいかもしれないけど、私達は、そういうわけにはいかないんだからしょうがないわよ」
幸江「どうかしら。お手伝いさんでも雇った方がいいんじゃない。私達じゃちょっと無理みたい」
橋龍「何いってんだ。君らが出ていけば、済むことだ。家を他人に任せるなんて、今までにもしたことがないし、私は、嫌なんだよ」
幸江「それなら、それで、私達きちんとやりますよ。なれるまでには、もう少しかかりますが、何とかしますよ、パパ」
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