LOVERS NIGHT
――え、龍次くんもこっち方面で帰るんだぁ!
一緒に帰ろう。
そう誘った俺に無邪気に微笑みかける奈緒。
――あのね、今日ね、級長さんがおもしろかったの!
――そうなんだ!どんな感じだった?
母親に出来事を話すみたいに話す奈緒がかわいくて。
俺は奈緒の手を握った。
本当は逆方面だなんて言えなかった。
漫画みたいにかっこつけたかったのかもしれない。
かっこいいとこを見せて、もっともっと好かれたい…。
そう思っていたのだろう。
たぶん、奈緒は今でも知らないと思う。
俺が逆方面の家に住んでいたなんて。
いや、俺の家に出入りしてるしわかってるのかな。