LOVERS NIGHT





 俺は奈緒の耳元に顔を埋めた。




「龍次!?やめてよ!離して!!」




 奈緒が金切り声を上げた。



「俺ら…恋人だろ?」


「だから何?」




 奈緒は完全に不機嫌。けど、不機嫌な奈緒の顔もかわいい。





「こんなことするのは間違ってるよ!」




 奈緒が泣きそうな顔で言った。





「なんで」



「わ、私、もう帰るから!ごはん、一人で食べて!」




 鍋の中には、すでに完成したビーフシチュー。



「帰さない」



 俺は呟いた。



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