恋の献血センター
「確かに、そんなふざけた医者は、見たことないわ」

「ふざけてないよ。これがほんとの姿だも~ん」

「コスプレ?」

「違うって」

 ほら、と顔を近づけて、あ~ん、と口を開く。
 小ぶりだが、鋭い牙が見えた。

「ドラキュラ」

「そ。どっちかと言うと、吸血鬼」

「一緒じゃん」

「違うも~ん」

 正体を晒されても、全く恐怖など感じない。
 このように軽い物言いだから、余計なのだろうが。
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