恋の献血センター
「ふむ、どれどれ」

 朱美から問診票を受け取り、目を通す。
 まだ全部も読んでいないであろう短時間に、彼は目を見開いた。

「! これ、ほんと?」

 ああ、と朱美は、すぐに納得した。
 大体いつも、こういう反応をされるからだ。

「はい。だからこそ、献血は積極的にするようにしてます」

 こっくりと頷く朱美に、彼はしばしぽかんとした後、うん、と大きく頷いた。

「良い心がけだ! いや~、僕も献血センターなるものをしていて良かった!!」

 満面の笑みで、朱美の肩を叩く。

---何か、えらいノリの先生だなぁ---

 ちょっと引いたが、外見の良い先生に親しく喋られるのは、悪い気はしない。
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