【完】山伏ネコの旅日記
落雷
漆黒の暗雲が夜空を覆い隠しオレがしがみついている木の上空で時折光を放ちながら巨大化していくのを目の当たりにした。
“ドドーン…!?
バリバリ―!?
激しい雷鳴音とともに…稲妻の閃光が雲の中央をめがけて四方から集まりけたたましい音をたてながら渦を作りあげた。
“ここは…やばいよ!?
早くここから離れて安全な所に避難した方がいい!?”
不穏な状況から危険を察知したオレは…下にいる野犬集団に大声で叫び呼び掛けた。
“うるせー!?
お前が俺たちに噛み殺されるか…丸焼きになるかどちらかの話だろう!?”
グルル…と唸り声とともに口々に野犬たちはオレの言葉に反論してなおも咆哮をあげて木を揺さぶり続けた。
“ピカッー!?
ドドーン!?
バリバリッー!?”
激しい雷鳴と閃光が天を轟き激しくうちならした。
先程よりも…成長を続けた暗雲が中央の渦にめがけて狙いをさだめ稲妻の光をはしらせていく。
“ポツ…。ポツ…。”
額に水滴が流れ落ちる。
“この雨はひと雨くるなあ!”
飼い主のおばちゃんと雨の日に家で眺めた雨雲の事が脳裏に浮かんだ。
その直後…。
“サー…ザーザー”
サーと降ったかと思うといきなり雨脚が激しく強まった。