【完】山伏ネコの旅日記
“ーやばい!逃げろ!?”
落雷の様子に気づいた野犬たちの声と雷鳴と重なった…。
その時光の筋が木を切り裂き大地に鳴り響いた。
“ードォォーン!?”
“うぎゃー。”
様々な音が周囲に鳴り響く。
オレが今までしがみついてた木も落雷の餌食となり二つに引き裂かれ両側に倒れはじめた。
“…あっ…。”
倒れてきた枝の先端が、右側の額から頬までをかすめ…そこから赤い鮮血が滲み激痛が身体中に走った。
“ボッ‥! ゴォォォッー!?”
“うわー!”
“逃げろー!”
先程まで地上で息巻いていた野犬たちも、二つに切り裂かれた倒木をよけて安全な所に逃げた…。
燃え盛る木々は容赦なく炎を連ねた。 逃げ惑う野犬たちを標的にしたかのように燃え盛る木々が倒れ込み体に引火して悲痛の声をあげている。
炎は風に煽られ更に火柱を高く伸ばし…その光景は地獄絵図を描いているようだ。
炎は、木から木へと燃え広がり一面火の海へと化していく。
“ボフッ…。”
オレは…そのまま地面に落下した。
落雷により感電死した野犬たちが偶然にもクッションの役割となった…。
不幸中の幸いか地面に直撃はまぬがれたが、先程切り裂かれた傷がズキズキと痛み血が溢れてきた。
“ここから…脱出しないと…!?”
激痛に身を悶えながらもオレは気力で体を起こした。