【完】山伏ネコの旅日記
“随分…楽しそうだな‥!
その様子だと…ようやく目が覚めたみたいだな!”
オレ達の笑い声を聞きつけ次々と他の野犬達が集まりオレ達を囲んだ。
“助けてくれて…どうもありがとう! お陰でまた朝日をこうして見る事ができたよ。”
野犬たちを…目で見回してお礼の言葉を言った。
“…もうかれこれ2、3日くらい…目が覚めなかったから正直もう助からないと思ったぜ…!”
野犬たちは…次々にやれやれ良かった!と口にしながらオレの近くに木の実などの食べ物を置き鼻先で押しやった。
“エサだ…!これでも食べて力をつけろ!
それと…始めに言っておくけど…オレ達だって元々は…飼い犬だった訳だし今は野犬になったからって根っからの白状ではないからな…!”
別の野犬が照れくさそうに次々にオレの近くに食糧を見つけて積み重ねていく。
“どうも…ありがとう…。”
“いやあ…まあなんだ!
お前には借りができちまったし…それにお前の勇気には感服するよ…。”
野犬の一匹がイタズラな笑みを浮かべた。
“そうそう…特に炎の中へ進むなんてヘビーな行動に最初はいかれちまったかなって思ったけど…並ならぬ気持ちでここに来たっていう意思が伝わったよ…。
さすがに…あれはオレたちでも真似できないな!”
“あれは…ただ先に進みたい一心で取った行動だったからあまり覚えてないんだ…。”
オレはここに担ぎ込まれる前の壮絶な修羅場を思いだしながら頬をほんのり赤らめて笑った。
“それでも…勇敢だった…。”
野犬たちは口々に勇敢だったと告げ…聞き慣れない言葉にオレはまた頬を赤らめて目を細めた。