【完】山伏ネコの旅日記
“君たちだってあの炎の中助けてくれたんだから…勇敢だったと思うよ。
あの時は本当に無我夢中で脱出する事しか頭になかったしね‥。”
オレの言葉に野犬たちの1匹があの時…と言葉を繋げた。
“炎の中で力尽きて気を失った直後‥激しい雨が打ちつけて炎を消してくれたんだ…。
もう生きてないだろうって思って近づいたらまだ息をしてたから安全な所にって思ってここに連れて来たんだ…。
その後は…メス犬達に手当てをしてもらって…オレたちは食糧を探しながら…ここで交代で看病をしていたがずっと起きなかったし、もう助からないだろうって思ってたけど無事に意識が戻ったから良かったよ!”
ここに来るまでのいきさつを話してくれた野犬に続き安堵の息を漏らした。
“本当にどうもありがとう…。”
オレは改めて野犬たちに感謝の気持ちを込めお礼の言葉を告げた時…。
“なんだか…胡散臭い空気だね…。”
野犬たちの背後に…子連れのメス犬たちがオレ達の話にわって入ってきた…。
“怪我してんだからあんまり喋んないで栄養つけなきゃね!”
メス犬たちは…自分たちの伴侶の横に付いて並びオレを見つめた。
“看病してくれたって話を聞いたよ…!
どうもありがとう! ”
オレは…メス犬たちにも感謝の気持ちを告げる。
“いやいや…うちのダンナ達から話を聞いてね…。
逆に助けられたみたいだしほんとに世話になったわね!”
“炎の中に突っ込むなんて…うちら犬でも大変な偉業よ!”
メス犬達の言葉にオレは…再び野犬たちを見まわし頭を下げた…。
野犬たちの温かい気持ちに心をうたれ自然と笑顔がこぼれた。
“本当に良かった…!”
野犬たちもオレの様子に安心して目を細めオレの笑顔につられて野犬たちも笑顔を見せる…。
“さあ!怪我してる猫は栄養つけて…男連中は狩りに行ってもらわなきゃね!”
“さっき帰ってきたばかりなのにイヌづかい激しいぜ!”
メス犬たちの言葉にオスイヌ達がかけあいを口々にあげ、その場にいたモノがどっ…と笑い声をあげた。
…笑い声が重なりみんなの笑い声が空に響く…。
空から光が差し込み朝の時を告げ天上で輝きをはなち陽気な朝の日和を告げていた。