【完】山伏ネコの旅日記
旅立ちの日
…そんな訳で…。
こうした経緯を経て…オレはの山岳の頂上で修業の日々に励んでいる。
“猫仙人様!?”
子犬たちがオレの事を猫仙人と呼ぶようになってから…大人の野犬たちも猫仙人と呼び…ここでの愛称として定着した…。
あれから…オレは野犬たちの看病のおかげで怪我も思ったほど早めに完治した…。
ただ一つ…。
引き裂かれた枝で負った右目の傷を残しそれ以外の傷は完治した。
今は野犬たちの集落で子犬たちに世の中の事を修業の合間に教えているのが日課だ…。
“今日も…世の中の事教えて!”
野犬の子犬たちがオレの姿を探し無邪気に寄ってくる。
“もう…そんな時間だったんだなあ!”
子犬たちに世の中の勉強を教えるのは修業が落ち着く午後からだ。
だが…子犬たちは待ちきれないのか修業の合間にきてよく勉強を急かしてくる。
“じゃあ‥ちょっとだけだ!
何が知りたい?”
子犬たちは口々に元気よく言葉を連ねた。
“猫仙人様…!
人間たちはどうして犬や猫を飼うのに…途中で捨てちゃうの?”
子犬たちの質問には…いつだって確信をつかれ驚かされる…。
“うーん…。
全ての人達がそうとは限らないようだ…。
人間たちも住み慣れた土地を離れ…次に住む場所で生きものが飼えないとかいろいろ事情があるみたいだしな…。”
言葉に詰まりながら子犬たちの質問に答える。
“でも…おれのパパは、突然見向きもしなくなったって言ってた! ”
別の子犬の難題に言葉を再び詰まらせた。
“そうそう!
自分たちが勝手に捨てたくせに…この山に野犬の駆除として来ては、仲間を連れて行ったり訳がわからないよ!”
確かに…人間の身勝手さは時に動物たちには理解できない…。
オレが…飼い主のおばあちゃんとコタツに入りながらテレビをみていた時もその事を問題にしてどうにかしようとしていた番組もあった…。
人間の中でもその問題に取り組んでいる人達だっている。