【完】山伏ネコの旅日記

 しかし…それとは逆にペットブームに乗っかり生き物を飼ってはみたものの…そのブームが過ぎ去ると見向きもせず世話を怠り…挙げ句の果てには捨てるといった悲劇も起こっている事は確かだ。


 “そうだなあ…。 人間たちの世界には…流行という風習があるんだ…。
 その流行にそって生き物を飼うといった風潮が訪れた時…人間は生き物に注目するがその期間がすぎて新しい物が出てくると目移りしてしまうものなんだよ。”


 オレの答えに子犬たちは首を傾けた。


“流行?”


“そう…。
みんなが一斉に同じ好みを持ち始め…それが…ヒトからヒトへと伝わり人間のある一定の集団がそれに対して流動的に集まり熱中する現象のことだよ。
 この対象はある一定の期間に人々が集中的にその対象を好み…別の対象に興味を持ち始めた時に一つの流行が終わるんだ。”


 “ふぅーん‥。
人間も集団で群れる事があるんだ!”


 子犬の言葉にオレは、たじろぎつつ頷いた。


 “そうだね…。
 まあ…オレ達でいうところの…群れで狩りをするのと似てるところはあるかもしれないね!
 ただ‥それが動物に対象が注がれたら大変だけどね‥。”


 ここにいる子犬たたは…捨てられる事を知らない子犬ばかりだ…。

大人の野犬たちが‥捨てられてここの山に集まった後に生まれた子犬たちばかりだからある意味…野犬の常識しか知らない…。


 大人の野犬たちも…捨てられた事はかなりのショックだったに違いない。
 心に傷を追ったまま捨てられた事を恨み野犬としての生活を送っている筈だろうから…。




< 24 / 44 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop