【完】山伏ネコの旅日記
第1節:仙人様のお告げ
どのくらい眠りについただろうか…ふとオレの前に人影を感じ目を覚ました。
“飼い主のおばあちゃん?”
まだ慣れない目をこすり…うっすらと映るシルエットのその姿は…飼い主のおばあちゃんの姿を形どっていたがなんだかいつもと違う雰囲気を感じた。
ブルっと身震いをするとその飼い主のおばあちゃんはオレの背中を撫でながら語りかけた。
“自分は…仙人だ。お前の夢の中に現れお前に使命をあたえにきたのだ。”
背中を撫でられた心地よさに酔いしれながらその仙人さまに聞き返した。
“なぜ…?
仙人さまなのに飼い主のおばあちゃんの姿のままなんだ?”
オレの質問に仙人さまは答える。
“これはお前がみている夢だから…お前の大切な者の姿を借りてお前に使命をあたえにきたのだ…。”
“使命…?”
先程から気になるその言葉にオレは首を傾けた?
“そうだ…。
うちネコ?あかよ…。
この家のうちネコになったからには…あるしきたりに従わなければならない…。”
“しきたり?”
仙人さまは…大きくうなずき手を大きく空に突き上げたその手の先に仙人の杖が現れた。
“そうじゃ…!
この家のうちネコになったからには…大人になる前必ず山に修業のため旅に出ることになっているんだ。”