【完】山伏ネコの旅日記
“ヤベェ…!?
こいつ…!マジだよ!
ず…ずらかろうぜ!?”
カッと目を見開き血走った目でねめつけたその形相に奴らは…真っ青な表情で仲間など見向きもせず傷だらけの体を引きずり一目さんにその場を退散していった…。
再び風が雑草を揺らす音が辺りに響いた。
夕刻の日が生い茂った雑草を照らし始め風は流れるように雑草をなでながら穏やかに吹き抜けた…。
最初の目的を達成し…オレはまた空を見上げた。
連中の事なんか忘れるくらい…。
いろいろな出来事があった…。
でも…まだそれはこれからも続いていくんだ。
頑張ろう!信じてくれる同士のために…!”
また…再びオレは拳を握りしめ今は遠くにみえる山岳にむかって砲哮をあげた…。
夕日が横顔に照りつけ始めてきたのを肌で感じ…飼い主のおばあちゃんももしかしたら家に帰っているだろうと思い…身を翻して再び来た道を戻り始めた向こう側にお孫ちゃんが…離れの小屋からでてきたのをみつけた!
“ニャーーン…。”
お孫ちゃんは…オレをみるなり…
“あか? もしかして…あか?”
驚いた表情で駆け寄りオレの頭をなでた…。
“立派になってぇ…!
もう山の修行終わったの?”
お孫ちゃんは…オレの右目についた傷を覗きこみ体をなでる…。
オレは…ゴロゴロと喉を鳴らしお孫ちゃんとの再会にニャーーンと喜びの声をあげた。
…お孫ちゃんは自分との再会を心から喜び嬉しかったのか…オレを抱き上げ飼い主のおばあちゃんの家に駆け込んだ。