【完】山伏ネコの旅日記
あとがき…これからの旅日記。
旅を終えて
…その後のオレは忙しい日々を送っている。
まあ…今はこうしておばあちゃんの横に陣取り仮眠をとってはいるけど…今日もスケジュールがギッシリつまっているんだ…。
“おばあちゃん!こんにちわ”
なぜか知り合いの人は…みんな勝手口側の窓から声をかけて入ってくる。
“近所のおばちゃんかあ…どうかしたのかい?”
“いやいや…この間野菜を頂いたお礼にと思ってね…。
これ…そら豆たくさん頂いたから持ってきたんだよ…!
あら…! あか!
帰ってきてたの?
まあ…どうしたの?その目の傷!”
近所のおばさんは…オレをみつけて突然話題を変えて質問攻めしてきたのに苦笑いを浮かべた。
“おばあちゃん…!”
お孫ちゃん達の明るい声が近づいてきた。
今日は…お孫ちゃん達3兄弟でかけつけたらしく…近所のおばちゃんに気づいて…こんにちはーと挨拶をして家の中に駆け込んだ。
そして…おばあちゃんの家の冷蔵庫にかけよった!
“うるさい!
テレビの音が聞こえないだろうが!
冷蔵庫から勝手に物とるな!”
飼い主のおじいちゃんの声が中から聞こえてくる…。
“おじいちゃん!
冷蔵庫に変な紙貼ってあるよ!
ジュース100円
ヤクルト50円
ゼリー70円とか書いてある!
ゼリーなんかあったっけ…?”
“うちの冷蔵庫の物を勝手にとるなら…そこに書いてあるお金を払え!?”
お孫ちゃん達3人は…冷蔵庫に集まりおじいちゃんの制する声も聞かず物色しはじめた…。
“賑やかだね…!
あっ!そういえば…あか!?
あんた…前に川岸歩いてなかったかい?”
近所のおばさんは…賑やかになったお孫ちゃんとおじいちゃんのやり取りをみていたけれど‥ふっと思い出したようにオレに話を振ってきた。
“ニャーーン”
まさか…よそ猫装いました…なんて言える訳もなく伝わる訳でもないのでひと泣きしてごまかした。