【完】山伏ネコの旅日記


 “まあ似てる猫なんているからねぇ~!”


 飼い主のおばあちゃんは…オレの頭を撫でてフォローしてくれた…。


 近所のおばさんはそれでも…首を傾けながら絶対あかだと思ったんだけどねぇ~と呟きこちらをみたのでオレは…すくっ…と立ち上がり近所のおばさんと戸口の柱の間をすり抜けて家の外に飛び出した…。

 オレはそのまま外にでて飯皿にたどりついたところで…そろり…そろり…と近づいてくる集団に気がついて睨んだ。


 例の…野良猫・こそ泥集団だ。

 “だ…だんな!俺たち心を入れ替えようと思ってます!”

 “だから…?”


 オレが冷たくいい放つと一匹の猫が…

 “つきましてはですね…!
エサのおすそわけをお願いしたくて…!”


 怯えながら恐る恐る連中は…オレのご機嫌を伺っているようだ…。


 オレが…フッーと体毛を逆立て威嚇すると遠くで小さくなり様子をみていた。


 “…早く食え!?
 この後つきあってもらうからな…!”


 “あ…ありがとうございます!だんな!?”


 オレの指示に深々とお辞儀して連中は…飯皿の中のエサに集団でがっついた。

 “ゼリーみつけた!”

 “もう…帰れ!帰れ!帰れ~!?”


 家の中では…お孫ちゃん達と飼い主のおじいちゃんのやり取りが続いている声が聞こえてくる…。

“早く食え!”

フッーと毛並みを逆立て急かしたオレに慌てて連中は…かきこみ…オレの近くへとやってきた…。

“いくぞ!?”

“いくってどこにですか?”


 オレの言葉に…こそ泥集団は訪ねた。

“山伏ネコの旅日記の講演会!”


オレは…それだけいい放ち顎でいくぞと合図した…。


“そういやあ…あか!
最近ここ一体のボス猫になってるらしいね…!”


 遠くで…近所のおばさんがオレのうわさ話を話している声が賑やかな我が家から届く…。

 オレは…遠く離れた山岳をみて誓う…。
 約束を果たすため…オレの旅はまだまだ始まったばかりなのだから…。
……………………………おしまい………………………………
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