【完】山伏ネコの旅日記
第1節:川沿い
オレは、海沿いの道をただひたすら上り、道なりに歩いていくと大きな川沿いへと出た…。
この川沿いに隔てる大きな橋がありそこを渡るには…人間と車が行き交う道路に出なくてはいけないので一度…橋桁のある土手に降りて一時休憩をとりそこから川沿いの土手を歩いて川上を目指して歩き始めた。
川上を歩く猫一匹の修業旅なんて誰も気づくはずがないと思っていたのだが…そこはまだオレが未熟だった…。
“あれ…?もしかしてあかじゃないの?”
呼び止められた声にオレは…ふと声の方向を見た。
すると…そこには近所のおばさんがいてオレに気づいたらしく声をかけてきた。
オレは…ここで連れ戻される訳にはいかないので“ニャー”と会釈だけしてよそ者をきどり…そのまま進んだ。
“あれ?あかだと思ったんだけど…違ったのかしら?”
去り際のオレの背後から近所のおばさんの声が聞こえてきて、後ろ髪を引かれそうな思いに耐えながら先に進んだ。