好きにならなきゃよかった
こんなにも、好きなのに。
「………っ」
「なぜ泣く」
泣きたくなるほど、好きなのに。
「……っすき」
どうして、こんなにも苦しいんだろうか。
好きなのに苦しい。
わかってる。本当はわかってる。××さんが私の気持ちに答えてくれる日が来ないことくらい知ってる。だけど――――…
「…すきっ、すきなのっ」
「………」
「すきです、貴方が」
「………」
「も、苦しっ、すきなのにっ!」
「………」
溢れて止まらない涙と思い。
バカだ。私はバカだ。××さんを困らせるだけなのに。子供みたいに泣きじゃくってバカみたい。惨めになるのは私だと言うのに。
首に手を回しながら私は××さんにすがり付くように抱きつく。キングサイズのベッドが軋む音がやけに鮮明だ。逞しい肩に顔を埋めれば××さんの馨りが鼻に付く。
「………ひくっ…ううっ」
泣きじゃくる私に××さんは服から手を退かす。乱れたYシャツからは黒のブラが覗いている。首元には赤いマーキング。
「……心優」
「っふぇ…ひくっ、」
「心優」
何かを言われるのが嫌で、首を横に振り拒絶する。あんな事を言いながら結局は拒絶されるのが怖い。
聞く耳を持たない私をジッと見つめてくる。
そして、
また、
「愛してる」
私を可笑しくさせる。