初恋図鑑〜AfterStory〜【完】
『…心、遅くなって…悪い!』
颯太くんが来たのは、6時を少し過ぎた頃……息をきらせている颯太くんを見ると、どうやらかなり急いで来たようだった。
『大丈夫だよ、サークルあったんでしょ?お疲れさま』
そう言って、ニコッと微笑んだ。
私のために急いで来てくれただけで嬉しい。素直にそう感じる。
…ん?
颯太くんを見ると私はふと、違和感を感じた…。
『…颯太くん……今日って何の日だっけ…?』
『今日?2月14日。バレンタインデーだけど??』
そう言って、不思議そうに首をかしげる颯太くん。
『…な、なんで、今年は…チョコ…ないの…?』
そうなのだ。バレンタインデーには、毎年のように、紙袋2つぶんのチョコをもらってきていた颯太くんが今日は…手ぶら。
違和感を感じるわけだ。