初恋図鑑〜AfterStory〜【完】
…わぁ、団体客かな?今、出れないし…もう少しここにいるか。
私は、立ち上がりかけた腰を下ろして目の前の真理の腕を揺する。
『真理、真理、大丈夫?』
『大丈夫、大丈夫…って…あれ…五十嵐くん?』
突然、真理が驚いたような表情でそう呟いた。
『へ?』
私が真理のその言葉に首を傾げた時、
『颯太くんは何にするぅ〜?』
甘ったるい女の声がした。
『オレは、ウーロン茶で』
ドキン
…この声…颯太だ
どうやら、颯太のほうは、私と真理がいる席が障子で仕切られているため気付いていないみたい。
『ね、もしかして、サークルの打ち上げかな?』
真理が楽しそうな声で私に耳打ちする。
…酔いはすっかりさめてしまったようだ。