初恋図鑑〜AfterStory〜【完】
私が真理に答えようとする前にさっきの甘ったるい声の女がまた声をあげた。
『え〜?何でぇ〜??せっかくだし、颯太も飲もうよ〜』
ベタベタとまとわりつくようなその声に私は、吐き気を覚える。
『いや、今日はいい。彼女と会ぅから』
キュン
颯太のその言葉が素直に嬉しくてついにやけてしまう。
前の席で真理は、そんな私を見つめながらため息をついた。
『…彼女なんて別にいいじゃん?今日は打ち上げなんだしさぁ〜パァッと飲もうよ?ね?』
一瞬、声が低くなったような気がしたが、すぐにまたあの甘ったるい声色を出す女。
『そうだぜ、サラの言うとおり。飲みの時ぐらい騒ごうぜ?颯太?』
『いや、マジ今日は…』
颯太が若干焦っているのがわかる。
もしかして、先輩か誰かにすすめられたのかもしれない。
『わぁ〜!草木先輩良いこと言う〜!ほら、颯太、先輩もそう言ってるんだから1杯くらいいいじゃない』
そんな甘ったるい声の女…いや、サラさんの声にさらに私のイライラが募る。