神さまに選ばれた理由（わけ）

2人で遅い昼食をとった。
兄は病気になったことを仕方がないと言ったが、
1度だけ「お前が病気になるなんて」と悲しそうな表情を見せた。
両親が亡くなって子供たちも巣立ち、これからというときに
妹の私が難病になり、親代わりとしては心配が尽きないのだ。
１０才も若い私が先に逝くことになったらどれほど悲しむだろう。
この病気は命に関係はないが、先生が教えてくれたwｅｂサイトでは寿命は１０年以内とある。
確かに転倒したり、誤嚥肺炎を越したりする危険のある人間が普通の人と同じように長生きできるのは難しいだろう
動けなくなった人間は命にもしわ寄せがきてそれなりの寿命にしかならないような気がする。
もちろん例外もあるが・・・・・・。

2人で食事するなんて珍しい、いやでかけることも病気に成らなければ
ありえなかっただろう。私たちは2人きりの兄妹だ。
兄にはホームまで送ってもらい新幹線に乗った。

先生のことが頭からはなれなくなっていたがメールは控えた。
吉野でのことと外来での正反対の先生の態度が理解できなかった。
兄からはあれから毎朝と毎夕メールが届いた。
おはようとお疲れ様のメールで元気付けの内容だ。
先生が話してくれたあと、夫は超優しくなり、兄はメールを
毎日くれるようになり、2人とも私のことを大事にしてくれる。
先生は2人になんと話したのだろう。
まるで私が明日までの命みたいだ。