神さまに選ばれた理由(わけ)
何度君をこうしたいと思ったか
それは長いくちづけだった。
くちずけの後、先生は私の身体にふとんをかけ自分もとなりに横たわり手を握った
「抱かないの?」私は小さく問うた。
私は良くても先生は若い男性。
「君は病気だろう?僕は医者だ そんな無理はさせないよ
となりで腕枕をし手を握って眠るだけだった。
なかなか眠れなかったが、明け方に目が覚めた。部屋の窓から見る夜明けは幻想的で美しかった。 
景色の美しさに惹かれ布団を出て窓のそばに駆け寄り、景色を眺めていた。京の景色は優しかった。
空の色も紫から朝焼けの色に変わろうとしている。「優しい色・・・・」

その時「澪さん」、と呼ぶ先生の声を聞き、後ろから抱きすくめられた。 
私たちは並んで景色を見ながら、「どうしたの?眠れない?」
「うん、少し 空の色があまりに綺麗だったから。」
「じゃまたすこし話そうか?澪さんに伝えなきゃいけないことがある。」先生はそのまま私を
抱いて話始めた。
「最後の外来の時翔太に腕を貸してる澪さんを見たとき、君がいかにお子さんを愛してるか
わかった。翔太に腕を貸している君は愛しい我が子を見る幸せそのものの表情をしたママだった。よその子だってこういういふうなのに自分の子だったら・・・・
いくら大きくなったからって離れることなんかできるはずない。いや放しちゃいけない。僕はお子さん以上になれないってこと、見せつけられたようだった。
「ありがとう先生。私のために・・・・・」先生の気持ちは痛いほどわかった。遺伝子検査の結果はまだ/出ていない。でも私は信じてる。彼らのパワーを。彼らはそんなに不幸せであるはずない。あの溌剌とした2人は神をも吹き飛ばす威力をもっている。
だから私は信じている。もし不幸な星に生まれたとしても母の愛の力で吹き飛ばしてやる。

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