フェアリーテイル
「私…なんてことを…」
レイシアが震える。
それは、愛する人を信じられなかった自分への怒りにも似た。
ミリアはレイシアの手を取ると、首を横に振った。
「大丈夫よレイシア。泣かないで…」
ミリアが微笑むと、レイシアが泣きそうな顔で見上げた。
その小さい身体を抱きしめてやりながら、ミリアは続けた。
「あなたがセイドリックさんを大切に思うなら、もう一度そう伝えてあげればいいのよ。大丈夫、きっと全部うまくいくわ」
「ありがとう、ミリア…」
不安の色はまだ消せないが、それでもレイシアはなんとか笑うことにしたようだった。
ミリアとライネは、お互い顔を見合わせる。
何としてでも、これ以上魔女の好きにさせるわけにはいかなかった。