るぅの涙
首にリードをつけたパオは、はじめのうち不安そうに辺りを嗅ぎながら歩いていました。けれどいつの間にか、るぅの隣に並ぶようにして、パオは歩き始めました。
公園に着いてリードを外しるぅが走ると、パオも一生懸命追いかけて来ます。
るぅが振り向き

「パオちゃん、こっちだよ」

と呼ぶと嬉しそうに走ってきて、足元にじゃれ付いて来ました。
でも、なんだかパオは寒そうにブルブルと身震いを何度もしています。
るぅはパオを抱っこし、着ていたモコモコのジャケットに入れて、パオの顔を出してあげました。

「寒かったの?
パオちゃん、これで寒くないでしょ?」
るぅの体にも、パオの体温が温かく感じました。

けれどパオは、自分で歩こうとして、服の中でもがき始めます。
「パオちゃん、歩いて帰るの?」
しゃがんでパオを小さな服の中から出すと、ブルッと一度だけみぶる身震いをして、ゆっくりるぅの側を歩き始めました。
帰り道を確かめるように、あちらこちらで臭いを嗅いではマーキングをするパオ。
まるで童話に出てきたヘンゼルとグレーテルみたい。そんなパオ姿を見ながら、るぅはニッコリと笑んでいました。

家に着くと、るぅはパオをお風呂場に連れて行き、お湯でぬらしたちょっとビチョビチョのタオルで足を拭いてあげました。

「パオちゃん待ってね。
るぅもおてて洗うから」

ブクブクと泡を立て手を洗うるぅの足元で、パオはるぅの顔を見上げながらじっと待っていました。

「おててはきれいにしないとね、バイキンだらけなんだよ。
病気になっちゃうからね、キレイにするんだよ」
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