秘密の時間


それを見た私は、窓の外を急いで見た。



コンコン。



窓を軽くノックする彼は、私に何か伝えたいらしくジェスチャーしている。



でも、私には理解出来ない。



彼もそう判断したのか、諦めて店内に入ってきた。



「美優ちゃん、分かんなかった? 俺の言いたかった事」



私の目の前の席に立ったまま、恩田さんは少し膨れっ面でそう聞く。



「す…すいません。そういうの苦手で…」



なんだか訳が分からないのに頭まで下げてしまった私。


恩田さんも何となくこれから先、どうしていいのか考えてる見たいにみえた。



「もしかして、誰かと待ち合わせ?」


「うん、そうだけど…」


間髪入れずにそう答えると彼は黙り込んだ。



葉子ちゃんどうしたんだろ?


急に葉子ちゃんの事が気になりだし、
急に不安が顔を出す。



「もしかして、これから…」



恩田さんがそう言い掛けた時、



「ごめん、遅くなって…」


と言いながら走っている葉子ちゃんの姿が見えた。



「あれ、恩田さん?何してるのですか?」


「いやっ、別に…」


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