秘密の時間


今まで、頭の中に浮かんだどうしょもない思いがすうっと引いて行く。



ペットボトルのジュースを手渡してくれた時の、はにかむような笑顔。



どうして私は悪い方に物事を捕えてしまったんだろ?



手の中のペットボトルを見つめたまま、自分勝手な気持ちに悲しくなる。



「どうした? 美優」



部長はいつも優しい。


なのに私は子供じみた考えで、ちゃんと部長の姿を捕えていない。



拗ねたりいじけたり、これじゃあまるっきり子供だ。


子供扱いされたくないのに、子供な態度しか取れないなんて…。



俯いた私の視界に、部長の手が入り込む。



ギュッと優しく私の手を包みこんだ。



「美優、もしかして、こういうトコ、やだったか?」


「……」


< 117 / 306 >

この作品をシェア

pagetop