秘密の時間


えっ―…、今なんて…。



そう思うよりも素早く課長の唇が私の唇に触れてくる。



軽く触れるだけかと思えばそうじゃなく、角度を変え啄む様に何回も触れてくる。



いつの間にかそんなキスに翻弄されて、私から甘い声が漏れてくる。



「美優―…」



優しく呟く部長の声音に、ドクドクと激しく鼓動は高鳴り頭がふらふらしてくる。



ゆっくりと離れていく部長の唇を見つめながら、観覧車の中と言う事をすっかり忘れていた。



「ごめん、嫌だった?
でも―…」



部長の憂いを帯びた瞳がなんだか切なくて、
私はちゃんと自分の気持ちを彼に伝えられないでいた。



「部長あの―…」



天辺に差し掛かる観覧車。


ふと部長に声を掛けると、部長の長い腕が私を捕えた。



「…ごめん、美優」



そして、再び重なる唇は、切ないぐらい彼の気持ちを表していた。



一瞬触れてすぐに離れたそれ。



もっと…、とせがんでしまう私がそこにはいた。


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