秘密の時間
ドキリと本当に音がするぐらい、私はびっくりしてしまった。
艶っぽい部長の言い回しや仕草に。
薄闇に紛れた輪郭に影が落ち、余計に妖艶さをつかさどる。
落ちつなかい鼓動の速さに、それでも部長の台詞にちゃんと応えたくて、言葉を発した。
「お…大橋…さん…」
震えた唇から零れた彼の名前を、部長は丁寧に唇で塞いでいった。
「だめだ、もう押さえ効かないかも…」
離れた唇が耳元で囁く。
いつもと違う彼の態度が、私の体温を上昇させる。
でも、この気持ち嫌じゃあない。
私も、もっと彼と一緒に居たいと思ったし、もっと触れられたい。触れて欲しいと思った。
「美優…」
その、切ない声に彼を見つめた。
そして、自然と唇から言葉は零れた。
「私も…、帰りたくないかも……」