秘密の時間
私の台詞を聞いた途端、部長がギュッと私を拘束する。
その力加減に益々煩くなる心臓に、私は怖くなって目を閉じた。
それから、何となく車に乗り込んで、私達は部長の部屋に向かった。
キスより先も初めてな私は、男の人の家に上がるのも初めてで、
いつまで経ってもドキドキは収まらない。
部長と一緒に部屋に入ると、「座って」とソファーを勧めた。
私がおずおずと腰を下ろすと、部長はキッチンへ消えて行った。
それにしては、広い部屋…。
辺りをぐるり見渡しても、うちみたく狭くないのは一目瞭然だった。
部長はこんな広い部屋に本当に一人で住んでるの?
そんな疑問が頭を掠めた時、部長が私の目の前にマグカップを差し出した。
「冷えただろうから、少しあったまろ」
温かな湯気が上がるマグカップを受け取ると、部長も私の隣に腰を下ろした。
これから、何が始まるの?
一口ゴクリとカップの中身を飲み込むと、もうさっき頭を掠めた疑問は消えていた。
その変り、これから起こるであろう行為にドキドキは止まらなかった。